
乳がんの死亡率は低いって本当?早期発見・早期治療がカギ
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乳がん
日本人女性の9人に1人が乳がんを発症するといわれています。早期発見すればほぼ完治する病気ですが、毎年1万人以上が亡くなっています。
この記事では、乳がんの死亡率や罹患数、生存率などの統計データを詳しく解説します。
乳がん死亡率は10万人あたり13.0人
乳がんは乳房に発生する悪性腫瘍で、とくに女性に多いがんです。多くの場合、母乳を作る組織である乳管や小葉から発生します。治療をせずに放っておくと、がん細胞がリンパや血液の流れに乗って、ほかの臓器に転移することも少なくありません。
国立がん研究センターのデータによると、2023年の乳がんの年間死亡者数は合計15,763人(男性134人、女性15,629人)にのぼり、毎年1万人以上が亡くなっています。また、人口10万人あたりの死亡率※は13.0人です。
※死亡率:ある期間において、特定の集団の中で亡くなった人の割合を示す数字で、「人口10万人あたり何人が亡くなったか」で表される
年齢別の死亡率は高齢になるほど高くなる
乳がんの年齢別の死亡率をみると、年齢が高くなるほど死亡率は上昇していることがわかります。
年齢 | 10万人あたりの死亡数(人) |
---|---|
30~34歳 | 1.8 |
35~39歳 | 3.9 |
40~44歳 | 8.5 |
45~49歳 | 14.7 |
50~54歳 | 23.5 |
55~59歳 | 30.4 |
60~64歳 | 36.2 |
65~69歳 | 39.7 |
70~74歳 | 46 |
75~80歳 | 44.5 |
80~84歳 | 51.2 |
85歳以上 |
79.8 |
一般的にがんは高齢になればなるほど死亡率が高くなるとされています。同様に乳がんも年齢とともに死亡率が上昇する傾向があります。
5年相対生存率は92.3%以上
国立がん研究センターの調査によると、乳がんの5年相対生存率は92.3%とされています。この数字は、乳がんと診断された人が治療を受けた場合、5年後にどれだけ生きているかを示す指標です。
相対生存率は、乳がんと診断された患者さんのうち、5年後に生存している人の割合を同じ年代・性別の一般人口の5年後の生存率と比較して算出したものです。つまり数字が100%に近いほど、治療によって命を救える可能性が高いことを意味しています。
乳がんは治療によって命が助かる可能性が高い病気であることがわかるでしょう。
早期の乳がんは90%以上の人が治ると言われている
乳がんは早期発見すれば、治る可能性が高い病気です。
というのも、乳がんは病気の進行度に応じてⅠ期からⅣ期に分けられ、Ⅰ期の場合は10年後も生存している人が90%以上とされています。
病期 | 特徴 | 5年※1/10年生存率※2 (ネット・サバイバル※3) |
---|---|---|
Ⅰ期 | しこりの大きさ:2cm以下 リンパ節への転移はない |
98.9%/93.7% |
Ⅱ期 |
【Ⅱa期】 【Ⅱb期】 |
94.6%/85.4% |
Ⅲ期 |
【Ⅲa期】 【Ⅲb期】 【Ⅲc期】 |
80.6%/63.8% |
Ⅳ期 | しこりの大きさ:問わない ほかの臓器に転移がみられる |
39.8%/17.0% |
※1 5年生存率:2014-2015年5年生存率集計報告書(国立がん研究センター)
※2 10年生存率:2012年生存率集計報告書(国立がん研究センター)
※3 ネットサバイバル(純生存率):がん以外の要因による死亡の影響を除外し、がんそのものが生存に与える影響を示す指標のこと
早期治療には下記のようなメリットもあります。
- 手術や放射線治療によって克服できる可能性が高い
- 転移のリスクが低く、再発の可能性が抑えられる
- 経済的負担を抑えられる
このように早期に発見し治療することによって、治る可能性が高まり、身体的・経済的負担も抑えることにつながります。
乳がんの罹患率|9人に1人の割合で乳がんに罹患
乳がんは女性に多いがんで、年間約9万人が罹患しており、2020年には91,531人(女性のみ)が診断されました。これは、女性のがん全体の約22.3%に相当し、とくに40〜70代の発症率が高いのが特徴です。
人口あたりの罹患率※5は女性141.3例(人口10万人対)です。
このように、乳がんは女性にとって非常に身近であり、注意が必要ながんであることを示しています。
※5罹患率:ある集団において、特定期間内に新たに診断されたがんの数を、その期間の集団人口で割った値
通常は1年単位で算出され、「人口10万人あたりの罹患例数」として表現される
年齢別の罹患率|30代で増加・40~70代でピーク
年齢別にみると、乳がんの罹患率は30代から増加し始め、40〜70代でピークを迎えます。
とくに働く女性や子育て世代といった比較的若い世代にも多いのが特徴です。また、閉経後の高齢者の罹患率も高く、幅広い年齢層で発症する可能性があるがんといえます。
乳がんの罹患率は年々増加している
乳がんの罹患率は増加傾向にあります。主な要因としては下記の通りです。
- 高齢化の進行
- 出産年齢の遅れ
- 授乳の有無
- 食生活や生活習慣の変化
- 検診技術の向上や受診率の上昇 など
出産年齢は乳がん罹患率と関わりがあります。女性が初めて出産する年齢が高くなるほど、乳がんになるリスクが上がります。これは、女性ホルモン(エストロゲン)が乳房の成長を助ける一方で、がん細胞の増殖も促すためです。
また、授乳経験の有無も乳がんの発症と関わりがあり、授乳経験がない人はある人と比較して、乳がんの発症リスクが高いとされています。
さらに、より多くの人が検診を受け、最新の検査技術で乳がんが発見されるようになったことも、統計上の罹患率が増えた理由のひとつです。
早期発見のために乳がん検診を受けよう
乳がんは早期発見が重要です。そのためには、日頃から自己触診をして、胸にしこりやかたい部分がないか、皮膚や乳頭の異常をチェックしましょう。
自己触診に加えて、乳がん検診を受けることが早期発見においては重要です。とくに40歳以上の女性は、2年に1度の乳がん検診を受けることが推奨されています。乳がん検診での主な検査方法は下記の2種類です。
- 乳房X線検査(マンモグラフィー)
- 乳房超音波(エコー)検査
これらは単独で行う場合もあれば、組み合わせて行われることもあります。
早期発見により治療の選択肢が広がり、乳がんを克服できる可能性が高まるため、自己触診を習慣にしつつ、定期的な受診を心がけましょう。
①乳房X線検査(マンモグラフィー)
マンモグラフィーは乳房専用のX線検査で、乳がんの早期発見に有効です。
検査では、乳房を圧迫して固定しながらX線で撮影します。その仕組みにより、がんのサインである「しこり」が白い部分として映し出されます。
とくに、非常に小さなしこりや、石灰化(がんの兆候とされる細かいかたい部分)を見つけやすいことが特徴です。
②乳房超音波(エコー)検査
乳房超音波(エコー)検査は、乳房に超音波を当て、その反射信号を画像化する検査です。
専用の超音波装置を使用し、しこりの有無や性状を確認できます。とくに乳腺が発達している若い女性の検査に適しており、マンモグラフィーでは発見しにくい病変も見つけやすい特徴があります。
しこりが良性か悪性かを識別する際にも有効で、マンモグラフィーと組み合わせることでより正確な診断が可能です。
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乳がんは進行すると治療の選択肢が限られ、がんが他の臓器に広がるリスクも高まります。しかし、早期に発見できれば、克服できる可能性が高いがんです。
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