
乳房が痛いのはなぜ?痛みの原因や乳がんの可能性について解説
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乳がん
「乳房が痛い」と感じる原因は、女性ホルモンの影響や乳房の病気などさまざまです。
本記事では乳房の痛みの原因や考えられる病気、乳房に痛みがある際の乳がんの可能性を解説します。
乳房の痛みの症状別に考えられる原因・病気
乳房に痛みがある場合、考えられる原因や病気は次の通りです。
- 乳房が張って痛い:うっ滞性乳腺炎、乳腺線維腺腫、乳がん
- 乳房がチクチク痛い:ホルモンバランスの変化
- 乳房が腫れてズキズキ痛い:化膿性乳腺炎
乳房が張って痛い:うっ滞性乳腺炎・乳腺線維腺腫・乳がん
乳房が張って痛みが生じる場合の原因や病気は以下が考えられます。
- うっ滞性乳腺炎
- 乳腺線維腺腫
- 乳がん
うっ滞性乳腺炎
うっ滞性乳腺炎は乳腺中に母乳が溜まり、乳房の腫れや痛み、熱感などの症状が起こる病気です。
うっ滞性乳腺炎は、乳管の詰まりや乳頭の異常により母乳が正常に排出できないことが原因です。
うっ滞性乳腺炎は授乳期の乳腺炎の中では、初めての出産の方によくみられ、授乳をはじめてから4週〜6週の期間に発症する傾向にあります。
乳腺中に母乳が溜まって炎症を起こすため、乳房の張りとともに痛みを感じやすい病気です。
乳腺線維腺腫
乳腺線維腺腫は、乳腺にできる良性の腫瘍です。
10代から20代の女性によくみられ、女性ホルモンのバランスの乱れによって発症すると考えられています。乳腺線維腺腫では乳房にしこりができ、徐々に大きくなるものの、半数ほどの方は自然にしこりが消失します。
良性腫瘍のため大きさが3cm以下の場合は、医師と相談したうえで切除せず経過観察を行うことが一般的です。ただし腫瘍が大きくなると、乳腺線維腺腫とよく似た別の悪性疾患の可能性があるため、切除を検討する場合があります。
乳房の痛みの原因が乳腺線維腺腫と診断されても、良性腫瘍だからと安心せず、検査を受けて定期的にチェックしましょう。
乳がん
乳がんで乳房の痛みを感じるケースは稀です。
乳房に痛みを感じた際、片方だけにしこりがある、でこぼこしたしこりがあるなどの症状がない場合、乳がんの可能性は高くありません。
痛みが主な症状でしこりを伴わない場合の多くは、乳腺症が原因です。
しかし、乳房の痛みから乳がんが発見されるケースもあります。痛みをはじめ乳房に違和感がある場合は、医療機関の受診や乳がん検診が早期発見に重要です。
関連記事:胸のしこりは乳がん以外も原因!良性と悪性の違いや痛くない場合について
乳房がチクチク痛い:生理によるホルモンバランスの変化
乳房がチクチクと痛い場合は、生理をはじめ女性ホルモンの影響が原因と考えられます。この場合、特定の部位ではなく乳房全体に痛みを感じる傾向にあります。
乳房がチクチクと痛む原因は、女性ホルモンのエストロゲン※とプロゲステロンの濃度が変化するためです。生理前や生理中、妊娠中の女性ホルモンの濃度変化によって、乳房の体液量が増加して痛みが生じます。
女性ホルモンの濃度変化は生理や妊娠だけでなく、経口避妊薬の服用や閉経後のホルモン療法などでもみられる場合があります。
女性ホルモンの変化にともなう痛みの詳細は、後述する「乳房が痛くなりやすい時期」の項目をご覧ください。
※エストロゲンとは、卵巣で分泌される女性ホルモンの一つであり、乳腺の発達や生理周期、生殖機能などに関与
乳房が腫れてズキズキ痛い:化膿性乳腺炎
乳房が腫れてズキズキと痛む場合は、化膿性乳腺炎を発症している場合があります。化膿性乳腺炎は乳管から細菌が入り込み、乳腺が炎症を起こす病気です。
化膿性乳腺炎の症状は次の通りです。
- 乳房が赤く腫れる
- 乳房がズキズキと痛む
- 高熱が出る
化膿性乳腺炎は抗生物質の投与や膿みの排出を行って治療します。化膿性乳腺炎を予防するためには、乳頭を清潔に保つことが大切です。
乳房が痛くなりやすい時期
女性には乳房が痛くなりやすい時期があり、時期によって痛みの原因が異なります。
乳房が痛くなる原因を以下の時期別にまとめました。
- 生理期間
- 妊娠中
- 授乳中
- 更年期
生理期間は排卵後に水分が溜まる
生理期間は排卵後に乳房に水分が溜まりやすく、乳房の張りや痛みを生じる場合があります。排卵後に分泌される女性ホルモンのプロゲステロンは、乳腺に作用して乳房に水分を貯める働きがあり、張りや痛みの原因です。
プロゲステロンの分泌量は排卵後7日目あたりが最も増加し、その後は徐々に減少していきます。生理の3日〜4日前から乳房の張りや痛みを感じ始めることが多く、生理が始まると徐々に軽減します。
妊娠中は乳房のサイズが大きくなる
妊娠中は乳房のサイズが大きくなり、張りや痛みを感じる場合があります。
妊娠すると女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌が増加し、プロゲステロンは乳房に水分を貯めるほか、乳腺や乳管の成長を促します。水分の蓄積に加え、乳房のサイズが大きくなることで、張りや痛みを感じやすいです。
妊娠中の乳房の痛みは妊娠7週目前後で強く痛みを感じやすく、妊娠16週程度の安定期では乳房の張りや痛みなどの症状は落ち着く傾向にあります。
授乳中はうっ滞性乳腺炎を起こしやすい
授乳中はうっ滞性乳腺炎が原因で乳房に痛みが生じやすいです。
うっ滞性乳腺炎は乳汁が乳腺や乳管に溜まって炎症を起こす症状で、乳房の腫れや痛み、熱感をともないます。溜まっている乳汁を出してうっ滞を解消すると、症状はすぐに治ります。
授乳の間隔が3時間以上空くと、作られた母乳が滞りやすくなり、うっ滞性乳腺炎が生じやすいです。また、脂っこい食事やストレス、肩こりなど血流が悪化する生活習慣も、うっ滞性乳腺炎を引き起こす原因になるため注意してください。
更年期は要因が明らかになっていない
更年期は乳腺症にかかりやすく、乳房に痛みを感じることがあります。明確な原因は分かっていないものの、エストロゲンの減少が関与していると考えられています。
また更年期の乳房の痛みは更年期症状の不定愁訴も原因の1つです。不定愁訴とは倦怠感や頭痛などの体調不良を感じるものの、検査をしても原因が見つからない症状を指します。
更年期に乳房の痛みを感じるものの、乳腺症になっていない場合は不定愁訴かもしれません。
乳房の痛みを感じたときの対処法
軽い乳房の痛みは、通常治療しなくても徐々に治まります。
月経前の乳房の痛みは、カロナール(アセトアミノフェン)やロキソニン(非ステロイド系抗炎症薬)での緩和が可能です。妊娠時の乳房の痛みはサポートブラジャーの着用や、アセトアミノフェンの服用で緩和できる可能性があります。
また、女性ホルモンの濃度に影響する経口避妊薬や内分泌療法を中止すると乳房の痛みを抑えられる場合がありますが、いずれも自己判断せず医師に相談して対処してください。
乳房の痛みが長期間継続する場合や痛みが強い場合、そのほかの症状がみられる場合は、早めに医療機関に足を運び、医師の診察を受けましょう。
乳房が痛いときに医療機関を受診する目安
乳房の痛みで医療機関を受診する目安は以下の通りです。
- 乳房の痛みが1ヶ月以上継続する
- 強い痛みや腫れ、発赤がある
- しこりや皮膚の変化がある
痛み以外の症状がある場合や痛みが強い場合は、医師の診察を受けてください。強い痛みや腫れが見られる場合は感染症の可能性があるため、早めに医療機関に足を運びましょう。
また上記に該当しない場合でも、不安や疑問がある場合は一人で抱え込まず、医師への相談も大切です。
乳房の痛みで乳がんか不安な場合は検査を受けてみよう
乳房の痛みは、女性ホルモンの変化や感染症などの原因で引き起こされます。軽い痛みであれば徐々に治ることが多いですが、痛みが1ヶ月以上継続する場合や痛み以外の症状が見られる場合は、医師の診察を受けてください。
また乳房に痛みがある場合、乳がんの可能性は低いものの、乳がんの可能性がまったくないわけではありません。定期的な検診はもちろん重要ですが、痛みをはじめ乳房に違和感がある場合は、乳がんの検査を受けることをおすすめします。
しかし、検査への抵抗感がある方や、仕事が忙しく時間が取れない方もいるでしょう。その際は、自宅で手軽に乳がんリスクを調べられるミルテルの「スキャンテスト乳がんハイリスクサポート+」がおすすめです。
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