
乳がんは痛い?乳房に痛みを感じる原因や受診の目安について解説
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「最近、胸がチクチク痛むけれど、これって乳がんのサイン?」 ふとしたときに感じる乳房の痛みに、このような不安を抱えている人もいるでしょう。
本記事では、乳房の痛みと乳がんの関係、原因と症状、さらに乳がん以外の病気の可能性についても解説します。
初期の乳がんで痛みを感じることは稀
初期段階の乳がんで痛みを感じることは稀です。
実際に、乳房痛を訴えた患者さんの中で、乳がんと診断されたのは1%以下という研究も発表されています。
このことからも、痛みで乳がんに気づくケースは少ないことがわかります。
乳がんのサインとして圧倒的に多いのは、自分で触ってわかる「しこり」です。
このしこりは、痛みがない場合が多く、硬くてあまり動かず、輪郭がゴツゴツしていることがあります。
そのため、「痛みがないから乳がんではない」とは言えません。
しこりなど、痛み以外の症状に注意することのほうが、乳がんの早期発見においては重要だと言えるでしょう。
乳がんの術後に痛むこともある
乳がんの治療後に、手術した側の胸や脇、腕の内側に長引く痛みを感じることがあります。
これは「乳房切除後疼痛症候群(にゅうぼうせつじょごとうつうしょうこうぐん)」と呼ばれ、手術後も多くの人が悩まされています。
ある報告では、リンパ節を周囲にある脂肪を含めて切除する腋窩郭清(えきかかくせい)を伴う乳がん手術を受けた方のうち、術後2年以内に約30%の方が乳房切除後疼痛症候群を経験するとされています。
海外では、術後9年が経過しても48%の方に痛みが残っていたというデータもあり、長く付き合っていく必要のある症状です。
参考記事:ペインクリニックにおける加療により乳房切除後疼痛症候群の症状が改善した2症例|J-STAGE
この痛みは、手術の際に皮膚や筋肉の神経が傷つくことが原因と考えられています。
「ヒリヒリ」「チクチク」「キリキリ」といった感覚で、数ヶ月で落ち着くこともあれば、数年にわたって続くこともあります。「術後は痛みがあるもの」と我慢せず、担当の医師に相談することが大切です。
乳がん以外でも乳房は痛むことがある
乳がん以外に考えられる痛みの原因を見ていきましょう。
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原因 |
具体例 |
症状や特徴 |
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ホルモンバランスの変化 |
・生理前 ・妊娠・授乳期 ・更年期 |
女性ホルモンの影響で乳腺が刺激され、乳房の浮腫みや張りによる痛みが生じます。生理周期に伴って痛みは強まったり弱まったりします。 |
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乳腺の疾患 |
・乳腺症 ・乳腺炎 ・乳腺嚢胞 ・乳腺線維腺腫など |
乳腺症は30〜50代に多い良性の疾患で、しこりや張り、痛みが生じます。 乳腺炎は母乳のつまりや細菌感染で起こり、乳房の腫れや赤み、熱感を伴うものです。高熱の症状が現れる場合もあります。 乳腺嚢胞(にゅうせんのうほう)は乳管の中に乳腺からの分泌物がたまってできた袋状のものです。乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)は乳腺の一部が腫れたものを指します。どちらも良性で、症状としてしこりを伴います。 |
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筋肉や骨の痛み |
・大胸筋の筋肉痛 ・肋間神経痛 ・肋軟骨炎 |
慣れない運動や作業によって乳房の下にある大胸筋が痛むことがあります。 また、肋間神経痛は肋骨付近の神経の痛みです。痛み方には個人差があり、しびれを伴う場合や皮膚がヒリヒリする感覚を伴う場合などがあります。 肋軟骨炎は、肋軟骨の炎症により深呼吸やくしゃみで痛みが生じます。 |
このように、痛みの原因は多岐にわたります。まずは自身の痛みがどのような性質のものか、冷静に観察してみましょう。
関連記事:胸のしこりは乳がん以外も原因!良性と悪性の違いや痛くない場合について
見逃さないで!乳房が痛いときに受診すべきサイン

乳房に痛みを感じても、まずは慌てず自身の状態を確認することが大切です。
その痛みが「生理周期と連動しているか」「しこりなど他の症状はないか」などをチェックしてみましょう。
ただし、以下のようなサインが見られる場合は、放置せずに専門医の診察を受けることをおすすめします。
- 痛みが強い
- 生理周期に関係なく痛みが1ヶ月以上続いている
- 乳頭から分泌物が出る
- 左右の乳房の形や大きさに、目で見てわかる変化がある
- 痛む部分に硬いしこりを触れる
- 皮膚に陥没(えくぼ)やひきつれ、ただれ、赤み、熱感がある
これらの症状は、乳がんや他の治療が必要な病気のサインかもしれません。不安な場合は、乳腺クリニック、乳腺外科などに相談しましょう。
関連記事:乳がんになったときの見た目の変化とは?主な症状や乳がんのチェック、検査方法を解説
また、乳房の痛みや異常にいち早く気づくために、普段から自分の乳房に意識を向ける「ブレスト・アウェアネス」を実践することも大切です。「いつも通りの乳房」とはどんな状態か知ることからはじめましょう。
痛みがない=安心ではない|定期検診とセルフチェックで早期発見
乳がんは初期には痛みなどの自覚症状がほとんどありません。症状がないうちから「定期的な検診」と「セルフチェック」をあわせて行うことが重要です。
乳がんは、日本人女性の9人に1人が罹患するとされている、非常に身近な病気です。
しかし、早期に発見し適切な治療を受ければ、5年生存率は「90%以上」と死亡率が低いがんでもあります。
関連記事:乳がんは何歳から気をつける?年齢別の罹患率やリスク要因を解説
マンモグラフィとエコーの併用がおすすめ
乳がん検診では、マンモグラフィと超音波(エコー)検査が実施されます。乳がん検診を受ける場合、この2つを組み合わせるのがおすすめです。がんの見落としが少なくなり、検診の精度を高められます。
マンモグラフィは乳腺の歪みや石灰化を見つけるのに適した検査方法です。しかし、乳腺もがんも白く写るため、乳房全体が白い高濃度乳房では、がんと乳腺の区別がつきにくくなるという欠点もあります。
ちなみに、高濃度乳房は比較的若い世代に多く見られ、40代の約4割が該当すると推測されています。
一方、超音波(エコー)検査では乳がんは黒く写ることが多いため、マンモグラフィでは見つけにくいしこりを発見するのに優れています。両者の欠点を補うためにも、マンモグラフィとエコーの併用がおすすめです。
乳がん検査の流れや特徴については、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:乳がん検査はいつから受ける?検査の流れや種類、検査方法などをわかりやすく解説
1ヶ月に1回はセルフチェックで乳房を確認しよう

月に一度、乳房の状態を確認する「セルフチェック」を習慣にしましょう。生理が終わってから1週間後くらいの、乳房の張りが少なく変化が分かりやすい時期がおすすめです。
セルフチェック時のポイントは以下の4つです。
- 見て確認: 鏡の前で腕を下げた状態で、乳房の形や大きさに左右差はないか、ひきつれや陥没、皮膚のただれがないかを正面・側面からチェックします。
- 絞って確認:乳頭を根本から軽くつまみ、異常な分泌物が出ないか確認します。
- 触って確認:指の腹を使い、反対側の手で「の」の字を書くように乳房全体から脇の下までをくまなく触り、しこりがないか確認します。
- 寝ながら押して確認: 仰向けに寝て、背中の下にタオルなどを敷くと乳房が平らになり、より分かりやすくなります。腕を上げ、乳房全体から脇の下までを指の腹で押すようにして丁寧に触ります。
大切なのは、普段の自分の乳房の状態を知っておくことです。
正常な状態を把握していれば、万が一の時に「いつもと違う」という小さな変化にも気づきやすくなります。
関連記事:乳がんとは?特徴的な症状とセルフチェックの方法を解説
忙しい人でも検査できる|自宅でできる乳がんリスクチェック
乳がんを痛みで自覚することはほとんどありません。
自覚症状がなく、検診で異常に気づく場合も多いのが現状です。しかし、「定期検診が大切なのはわかっているけど、忙しくてなかなか病院に行けない」 などの理由で、検診から足が遠のいてしまっている方もいるかもしれません。
そのような方のために、近年では自宅で簡単にできる乳がんのリスク検査も登場しています。
広島大学発のバイオベンチャーとして知られるミルテルが提供する「スキャンテスト乳がんハイリスクサポート+」です。
唾液を採取するだけで、将来の乳がんリスクを評価できるサービスで、検査精度はAUC0.94の高精度を誇ります。
検査結果がC判定のハイリスクとなった場合、医療機関での精密検査費用を一部サポートする制度も整っています。
手順は、ミルテルのLINE公式サイトから検査キットを購入して、自宅に届いたキットで唾液を採って、ポストに投函するだけ。
検査結果は、約1ヶ月でLINEに届きます。病院の予約も、移動時間も、待ち時間も必要ありません。
進化したテクノロジーを活用し、自宅で手軽に乳がんリスクチェックから始めてみてはいかがでしょうか



